太子伝抄


法隆寺勧学院の高栄が斑鳩寺の玄得に贈った跋文
多くの人から慕われる聖徳太子、その伝説をまとめた『聖徳太子伝暦』の注釈書の決定版といわれた『太子伝金玉抄』(永禄11年・1568、法隆寺勧学院専学法印作)を、寛永19年(1642)、斑鳩寺保寿院の玄得が書き写したもの。当時『太子伝金玉抄』は、法隆寺勧学院に秘蔵されていたが、勧学院の高栄律師が、かつて法隆寺の荘園だった鵤の地から、「浪を凌ぎ、山を越て」はるばる玄得がやって来たことに喜び、特別に専学法印自筆本の書写が叶えられた。
紺の紙に金で蓮を描いた表紙は、旧鵤庄の地の守護、新宮藩(旧鵤藩)二代目藩主・池田重政が寄進した。
太子町指定文化財。