太子町の獅子舞

秋祭りの獅子舞

平成27年(2015)10月10日、新庁舎の落成をお祝いし、黒岡神社氏子の沼田が獅子舞を披露しました。この様な獅子舞、町内では、石海神社氏子の竹広が舞っていたことをご記憶の方も多いでしょう。そのほかにも、稗田神社の鵤北之町・東保、阿宗神社の立岡・松尾、石海神社の岩見構上・船代、吉福八幡神社の吉福・沖代・米田、若王子神社の松ヶ下で舞われていました。

竹広の獅子舞は、江戸時代の天保・弘化(1830~48)ころに栄吉という旅人が伝えたものといい、近郷の村々から指導の依頼が殺到するほど評判が高く、竹広は西播磨の獅子舞の中心地の一つでした。町内の松ヶ下や東保、姫路市の飾西(大年神社)、朝日谷(魚吹八幡神社)、たつの市揖西町の新宮(井関三神社)、揖保川町の野田(野田日吉神社)、袋尻(賀茂神社)、御津町の西釜屋(富嶋神社)、相生市の相生や矢野町の村々、家島の真浦(家島神社)などは、竹広の流れを汲むといわれています。また、沼田の獅子は江戸時代の末頃に立岡から習ったということです。少し系統が違うのは松尾で、姫路市夢前町の護持村の流れをくんだ毛獅子でした。

これらの獅子舞は伊勢大神楽系統のもので、獅子頭(かばち)を持つ前シシと油単の胴体にはいる後シシの二人の若衆が、笛・太鼓・拍子木などの囃子に合わせて舞います。おもに、その年の五穀豊穣を氏神さまに感謝する秋祭りで舞われますが、現在、太子町やその周辺の秋祭りでは、獅子舞のほかに檀尻や屋台練りが奉納され、特に屋台が激しく練り合う様子は、播州の秋祭りの名物になっています。とはいえ、最初から今のような形だったわけではなく、神さまを喜ばせ、同時に自分たちも楽しむために、より美しくより勇壮にと、毎年毎年、改良されてきた結果であり、今もなお、新たな工夫が付け加えられています。地域の祭りは、それぞれの地域が長い年月をかけて培ってきた、大切な文化遺産なのです。

新庁舎で披露された沼田の獅子舞

新庁舎の落成記念に奉納された沼田の獅子舞(2015.10.)

竹広の獅子舞

石海神社に奉納された竹広の獅子舞(2002.10.)

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